【2026年 ITトレンド】科学的介護「LIFE」最新動向と見守りIoT×インカム連携による現場改革ガイド
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この記事のポイント
- LIFE関連加算は令和6年度改定で、データ提出が他のLIFE関連加算と合わせ、少なくとも「3月に1回」に見直された。令和9年度改定に向けては、加算を2階層に整理する案が検討されている(決定ではない)。
- 夜間の人員配置の見直しは、サービスごとに仕組みが違う。介護老人保健施設などでは、見守りセンサーとインカム等のICTの導入が要件になっている。
- 導入前に、自施設のサービス種別の要件、記録ソフトのLIFE連携(CSV)への対応、都道府県の補助を確認したい。
はじめに
介護現場では、介護人材の確保が課題とされる中、介護ロボットやICT等のテクノロジーを使った業務の改善が、補助事業などで後押しされています。国は科学的介護情報システム(LIFE)で、施設・事業所が提出したデータを集計して返す仕組みを運用しています。夜間の見守りでは、見守りセンサーとインカムを組み合わせた運用が、制度の中でも位置づけられてきました。
本稿は、福祉・介護施設の経営者・施設長の方に向けて、LIFE の制度の動きと、見守りIoT×インカム連携で何が変わりうるかを、厚生労働省などの公開資料の範囲で整理します。内容は公開資料の整理であり、個別施設の算定の可否や効果を保証するものではありません。
1. 何が変わるのか:LIFE の制度の動き
令和6年度改定で見直された点
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、LIFE関連加算に共通する見直しが行われました。厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定の主な事項」には、次の内容が示されています。
- データ提出の頻度を、他のLIFE関連加算と合わせ、少なくとも「3月に1回」に見直す。
- 入力項目の定義を明確にし、他の加算と共通する項目の選択肢を統一する。
- 同じ利用者に複数の加算を算定する場合、一定の条件のもとでデータ提出のタイミングを統一できるようにする。
厚生労働省の事務連絡(令和6年11月22日)によると、令和6年度版のフィードバックは令和6年11月26日から段階的に掲載を開始するとされていました。掲載を始めたフィードバックは、前月末日までに評価され、当月10日までに提出された様式情報を、毎月11日から集計する扱いです。
令和9年度改定に向けた検討
令和9年度(2027年度)の介護報酬改定に向け、LIFE のあり方を検討する検討会が、加算の構造について方向性をまとめています。現在の科学的介護推進体制加算を、分野横断で基礎的な情報を集める「1階層目」とします。それ以外のLIFE関連加算は、科学的介護推進体制加算を算定したうえで算定する「2階層目」と整理すべき、という内容です。
この内容は、社会保障審議会介護給付費分科会の第254回と第264回の資料に載っています。ただし位置づけは「検討」です。報酬改定の内容として決まったものではありません。今後の分科会での議論を確認しながら、自施設の算定状況を整理しておくことをおすすめします。
2. 夜間見守りという課題
夜間の人員配置については、見守り機器とICTの活用を条件に見直す仕組みが、サービスごとに設けられています。
令和6年度改定では、介護老人保健施設(ユニット型を除く)と短期入所療養介護の夜間の配置基準が、現行の「2人以上」から、要件を満たす場合に「1.6人以上」(ただし常時1人以上)とされました。利用者等の数が40以下で緊急時の連絡体制を常時整備している場合は、現行・改定後とも「1人以上」とする別の定めがあります。要件は次のとおりです。
- 全ての利用者に見守りセンサーを導入していること。
- 夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること。
- 安全体制を確保していること。
安全体制の確保には、次の6項目の具体的な要件があります。委員会の設置、休憩時間の確保、緊急時の体制整備、機器の定期チェック、職員への教育、夜間の訪室が必要な利用者への個別の訪室です(改定事項資料116頁)。センサーとインカムの導入だけが要件ではありません。導入後は、3か月以上の試行を経て、夜勤職員を含む多職種が参加する委員会で安全体制やケアの質を確認し、届け出ます。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の夜間支援体制加算は、現行の算定要件に加え、新たに次の三つを満たす場合にも算定できるようになりました。夜勤職員を常勤換算で0.9人以上加配すること、見守り機器の導入割合が利用者に対し10%(資料の表記)であること、委員会を設置して必要な検討が行われていること、です。全ての開所日で夜間・深夜の体制が人員配置基準を上回っていることも前提です(資料117頁)。
注意したいのは、「配置基準の見直し」と「加算の要件」の違いです。老健の1.6人は配置基準の見直しです。認知症グループホームは加算の算定要件です。特別養護老人ホームには、令和3年度改定で同様の見直しが先行しており、別の定めがあります。自施設のサービス種別の告示・通知で確認してください。
このほか、令和6年度改定で「生産性向上推進体制加算」が新設されました。短期入所系・居住系・多機能系・施設系が対象で、区分(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。区分(Ⅱ)の主な要件は、委員会の開催や安全対策を講じたうえで、見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、1年以内ごとに1回、業務改善の効果を示すデータを提供することです。見守り機器、インカム等、介護記録ソフトなどを全て使うことは、区分(Ⅰ)の要件です(資料112〜113頁)。
導入費用には、介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)があります。令和7年度の概要資料には、補助率が「以下の要件を満たす場合は3/4を下限(これ以外の場合は1/2を下限)」と書かれています。要件には、第三者による業務改善支援を受けることなどがあります。実際の補助率・上限額・募集時期は、所在地の都道府県の要綱で確認してください。令和8年度の内容は確認できていません。
センサーとインカムをつなぐと何が変わるか
見守りセンサーは、離床や体動などを検知して通知します。インカムは、通知を受けた職員同士が、手を止めずに声でやり取りする手段です。二つをつなぐと、通知を受けた職員が、誰が対応するかをその場で相談できます。
公開されている事例を二つ挙げます。インカム提供事業者の導入事例ページによると、ローズライフ京都(介護付有料老人ホーム)では、対応へ向かう前にグループトークで相談する運用を取り入れました。導入前後の歩数を測った結果、1勤務あたりの歩数が半減した職員もいる、と紹介されています。厚生労働省の生産性向上ガイドライン(パイロット事業 令和2年度版)には、北九州市の実証事業(約3か月)に参加した特別養護老人ホーム(社会福祉法人春秋会 好日苑大里の郷)の事例が載っています。業務の仕分けとICT・介護ロボット・介護助手の活用で、介護・看護職員の人員配置が、実証前の2.0:1から2.87:1になったと紹介されています。職員1人あたりの利用者数が増えたことになります。資料は、これを配置基準の緩和とは述べていません。いずれも個別施設の報告であり、他の施設で同じ結果が出ることを示すものではありません。
LIFE との関係では、介護ソフトとLIFEのCSV連携の標準仕様(3.10版)が、厚生労働省と国民健康保険中央会から示されています。記録ソフトがこの仕様に対応していれば、提出用のデータを手入力せずに作れる場合があります。対応の有無は製品ごとに異なります。
導入を検討する際は、次の3点を先に確認することをおすすめします。
- 自施設のサービス種別で、見守り機器・ICTを条件とする制度の要件があるか。
- 使っている記録ソフトが、LIFEのCSV連携に対応しているか。
- 都道府県の補助の対象・補助率・募集時期。
よくある質問
Q. 見守りセンサーとインカムを入れれば、夜間の配置基準は見直されますか?
サービスの種類と要件によります。令和6年度改定では、介護老人保健施設(ユニット型を除く)と短期入所療養介護で、全利用者への見守りセンサーの導入と夜勤職員全員のインカム等の使用などを要件に、夜間の配置が「1.6人以上」(常時1人以上)とされました。導入後に3か月以上の試行と委員会での確認を経て、届け出ます。特別養護老人ホームには別の定めがあるため、自施設のサービス種別の告示・通知を確認してください。
Q. LIFE関連加算の「2階層」への再編は、決まったのですか?
決まっていません。検討会がまとめた方向性が、社会保障審議会介護給付費分科会に資料として示されている段階で、位置づけは「検討」です。報酬改定の内容として決まったものは、確認できていません。
免責事項・参考
本記事は、公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、個別の施設における報酬の算定可否、人員配置基準への適合、補助金の採択、導入効果を保証するものではありません。制度の詳細は、最新の告示・通知および所在地の都道府県・市町村へご確認ください。本記事は主に令和6年度改定の内容と令和7年度の資料に基づいており、令和8年度以降の制度の変更や、令和8年度の補助要綱は確認していません。数値は資料の記載によるもので、当社が保証するものではありません。
参考資料(確認日 2026-10-06)
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項」(33頁) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001300143.pdf
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年3月。112〜113頁・116〜117頁) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf
- 厚生労働省老健局老人保健課 事務連絡「科学的介護情報システム(LIFE)の令和6年度報酬改定に対応したフィードバックの掲載開始について」(令和6年11月22日) https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001337518.pdf
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第264回 資料3「科学的介護情報システム(LIFE)」(第254回資料の再掲を含む) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744922.pdf
- 厚生労働省 地域医療介護総合確保基金の概要資料(令和7年度「介護テクノロジー導入支援事業」・1頁) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf
- 厚生労働省・国民健康保険中央会「科学的介護情報システム(LIFE)CSV連携仕様について【3.10版】」 https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001698660.pdf
- 厚生労働省「介護サービス事業(施設サービス分)における生産性向上に資するガイドライン」(パイロット事業 令和2年度版・事例23・冊子45頁) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_shisetsu_Guide.pdf
- BONX WORK「見守り支援システムとの連携で加速する介護現場のICT化と品質向上|ALSOKジョイライフ株式会社 ローズライフ京都様」(インカム提供事業者の導入事例ページ) https://bonx.co/work/cases/roselife/
※本レポートは、公開情報等に基づいて、B3Cコンサルティングチームが整理・構成したものです。